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 #12 へんてこ水晶

 やっぱり、なんだかんだいって水晶ばかりになってしまうなあ。
 しかも、岐阜県中津川市の「ちんの峠」の水晶ばかり。
 お気に入りでしょっちゅう行っているからしかたがないのだけれど。

 さて、今回は私の大好きなパターンの水晶を紹介。

 強いて名前をつけるなら「へんてこ水晶」。
 もちろん、すらっとした水晶も好きなんだけど、
 「ちゃんとなりたかったんだけど、なれませんでした」
 「精一杯頑張ったんですけど、限界でした。スミマセン」
 って、いっているような水晶にとても惹かれている。
 だって、なんだかすごくけなげな感じがするんだもの。

 というわけでこの水晶。
 初めは折れているのかと思いました。

 でも、折れてないんです。
 ちゃんと頭が、結晶の先端があるんです。

 どういう状況になっているのか、写真をクリックして拡大してみてください。
 スーッと伸びてきて、クキッと首を傾げてます。
 錐面が隣の柱面にくっついている。
 条線も斜めになっているし、隣の柱面には条線ないし。

 そして左側っていうか、下側がキレイにカーブしている。
 そのカーブもキレイな弧を描いているじゃないですか。
 カーブしている水晶なんて見たことあります?


 さらに、中に一筋の煙のラインが入っているんですけど、
 このラインはなぜか真っ直ぐ。
 これってファントムとはいわないですよねぇ。

 大きさは3センチくらいです。



 #11 日本式双晶の片割れか?! しかも煙!

 日本式双晶。
 明治時代に日本で多産したことからこの名前が付いた水晶。
 ふたつの水晶が、柱面が平行とかくっついている角度が何度とかの、
 ある関係を持っている双晶。
 ドフィーネ式、エステレル式などたくさんあるけれど、
 ペッタンコでハート形をしている日本式双晶が人気ナンバーワン!

 で、この水晶。私は日本式の片割れではないかと思っている(希望)。
 片割れではあるけど、 横幅 1.5センチ、 厚さ 均等に3ミリ。
 #10の南洋美人と同じ、ちんの峠の同じズリの同じ場所から出ました。

 左上 : 右側が結晶の先端方向。
 左下 : しかし、柱面には条線がまったくなく、ツルツルのピカピカ。
       写真を撮るときに当てたLEDライトが写り込んでいる。

 右上下 : それなら、どこに条線があるのかというと、見てのとおり、
        薄い部分の柱面。しかも斜めに入っている。

  いかがでしょうか、ご意見をお聞かせいただければ幸いです。



 #10 南洋美人という名の水晶


 岐阜県中津川市の「ちんの峠」には、ここでしか採集できない
 水晶がある。
 しかも、ズリ全体ではなく、一部からしか見つけることができない。
 南洋美人と呼ばれているそれは、透明な水晶の中に白いつぶつ
 ぶが入っていてさらにその奥の中心が煙水晶で黒くなっているもの。
 黒字に白だから、つぶつぶがとてもよく目立つ。
 このつぶつぶ、一般には長石(たぶん粘土)だろうといわれている。
 
 ところで、ちんの峠で採集できる水晶はこのほかに純粋に透明な
 水晶、そして煙水晶がある。
 南洋美人はこのふたつの水晶が合体したような感じだ。

 私が想像するところでは、何万年もの昔、まず煙水晶ができたのだ
 と思う。
 そして、しばらくそのままだった。
 そのあいだに長石が堆積し、さらに何万年かのち、一部の煙水晶の
 まわりに、透明な水晶が作られていたのではないだろうか。

 だからこそ、ある部分では煙水晶、またある部分では透明な水晶。
 そしてまた別の部分では南洋美人が採れるんじゃないのかな。


 1段目左 : 南洋美人群晶  左右5センチ
 1段目右と2段目 : 群晶の右上の結晶を拡大したもの。

 3段目左 : 分離結晶 縦3センチ

 3段目右と4段目 : 分離結晶 縦6.5センチ
              変なかたちの結晶。
              結晶の左は煙水晶がむき出しになっている。
              右側もけして割れているわけではない。
              ちゃんと六角形をしていて、キレイな結晶面
              をもっている。


 南洋美人の第一印象

            「こんな和菓子あったよね」


 拡大写真は、張り付けるだけのおもしろ接写レンズを使用して撮影。

※ 南洋美人という名前は一般的ではなく、東海地方で使われてい
   る呼び名のようだ。他の地域で何と呼ばれているかは不明。



 #9 アクアマリン

 鉱物名ベリル(日本名:緑柱石)


 上・中:ブラジル産。長さ4センチ 直径7ミリ
 新宿のミネラルフェアで買ったもの。
 あわーい水色がまったくわかりません。バックが黒というのも考え物。
 一見ファントムに見えるのは、反対側の結晶面についている模様。

 下
 あんまり拡大すると、欠けてるエッジが見えてしまうなー。
 宝石はたとえダイヤモンドでもエッジは簡単に欠けちゃうもの。
 硬度はあくまでも「ひっかき傷の付きにくさ」を表すもので、
 衝撃に強いか弱いかを表すものではありません。
 なんて、雑に扱ってたことの言い訳です。
 鉱物はもろいです。慎重に丁寧に扱いましょう。



 #8 アイオライト


 鉱物名コーディエライト(日本名:菫青石)
 名前の通りすみれ色のこの石は、ちょっと色の薄いサファイアに見えることから、
 一時期ウォーターサファイアと呼ばれていた。
 えっと、そう呼ぶのは勝手だけれど(困りものだけど)、
 この石のことを「薄目のサファイアです」といい切られたことが何度もある。
 宝石店で多い。あんまり扱わない石だからかな。でも、あんまりだと思う。


 上:千葉で買ったルース。
 鉱物マニアのためのルースだから、特徴が生かされたカットがされている。
 結晶の成長方向に対して斜めにカットされているため、
 どの方向から見ても多色性がわかる。
 宝石にする場合、結晶がもろくなるためこんなカットは絶対にしない。

 中:上野御徒町で買ったビーズ。
 いやー、さすが問屋街だねえ。150個で1000円だからね。
 同じ石を1個1000円で売っているのを見たことがあるぞ。
 強いて難をいうならば、粒ぞろいでないことと、
 穴の向きと大きさがけっこうエエカゲンなこと。
 それはそれで味があっていいんだけれど、まとめ買いしかできないため、
 アクセサリーを作るとき、使えないものもある。

 下:アナヒータで買ったブレスレットとピアス。
 多色性がよくわかるセッティングがされているといいんだけれど(希望)。
 でも、やっぱりもろくなっちゃうのかな。
 ネックレスもあったらよかったんだけどな。



 #7 ダイヤモンドの指輪


 だいぶん前に(自分で)買ったダイヤモンドの指輪。
 0.3カラットの石が9個あります。
 どうですか、この輝き。さすがダイヤモンドです。
 しかし、私が見る限り、ひとつひとつのグレードはIクラス。
 1個石ではないので鑑定書はつきませんが、
 拡大写真で一目瞭然。
 おもいっきりインクルージョンが入っています。
 きっと誰が見てもIクラス。
 でもでもでも、このインクルージョンはカーボンなのです。
 本にも書きましたが、カーボンインクルージョンの場合
 石自体の透明度や輝きには影響がありません。
 納得して買いました。



 #6 トレスト誌についてきた スピネル & ルビー

 隔週刊誌トレジャーストーン創刊号についてきたルビーとスピネル(笑)です。
 当時、ルビーがついてくるってことで大喜びで本屋に走ったのですが、
 実際についてきたのはなぜかスピネル。
 八面体結晶のまぎれもないスピネルでした(写真上の2枚)。

 スピネルはいろんなところでルビーに間違われるのですが、
 ここでもか! っていう感じ。
 そのころパソコンやり始めだった私は、
 さっそくトレスト誌のホームページをのぞいてみたところ掲示板はすでに大騒ぎ。
 「創刊号から間違えるとはなにごとっ!」とか
 「明らかにスピネルなのに、なぜ気づかない!」
 なんてケンケンガクガク。
 結局、編集部からの謝罪と数号あとに「あらためてルビーをつける」ということで
 決着が付きましたけれど、私も含めて掲示板では
 「予定外だったスピネルまで手に入ってラッキー」って感じでした。

 ところが、トレスト誌を買っていらっしゃったみなさん、ご存じでした? 
 実はスピネルは混じっていた程度でルビーもしっかりあったということを。
 しばらくしたところでバックナンバーで創刊号を探してみたところ、
 あるわあるわ、これぞルビーというような完全六角形(写真下の3枚)。

 当時松戸に住んでいた私は近所の書店を探しまくり、計11冊も買ってしまいました。
 これも宝探し。紛れもない鉱物採集。この瞬間、私の採集魂に火がついたのです。
 あ、もちろん虫眼鏡も11個あります(爆)。



 #5 ルビー(ではありません)

 見てください。この色この透明感。大きいものは多少川ズレしていますが、
 左上の結晶のシャープなこと。
 これぞミャンマー産のルビー ……ではなく、スピネルです。
 赤ければルビー、青ければサファイア。そして透明ならばダイヤモンドとされ
 てきたスピネルは、実はこんなにも美しい天然石なのであります。

 その昔、化学の発達していなかった時代では、赤ければガーネットもトルマ
 リンも皆ルビーでした。それがその発達に伴い、それぞれ独立していったわ
 けですが、最後まで分類できずに残ったこの石が、その後一手にイミテーシ
 ョンという汚名を請け負うことになってしまったわけです。
 この色を見ていると何だかくやしくて仕方がありません。
 この石がもっともっとメジャーにならないかと願ってやみません。

 産地:ミャンマー、ピジョンブラッドで有名なモゴック鉱山近くの河床
 顕微鏡の接眼レンズにデジカメを押し当てて撮影。一番大きなもので4ミリ
 



 #4 二上山の砂

 細かいものを上手に撮影する方法を思いついたので二上山の砂を撮って見ました。
 何年か前に「楽天市場・UnDigital科学博物店」の懸賞で、
 双眼実体顕微鏡を当てて持っていたんです。それを思い出しました。
 今回それを使えばもしかしてうまくいくかもってチャレンジした写真が上の一枚です。
 思ったよりキレイに写りました。下の2枚は、ただの接写で撮ったもの。
 何が違うかって、それはやはり拡大したときの綺麗さ。
 どうぞ写真をクリックしてください。下の2枚は、これが限界です。
 上の写真はまだまだ大きかったものを、容量の関係で小さくせざるをえませんでした。

 さて、二上山の砂に含まれている石。
 おびただしい数のアルマンディンガーネットを取り除き、
 そのなかから、チマチマと探し出したものです。

 青 : サファイア      ピンク : ルビー
 オレンジっぽい : ジルコン
 ピンクオレンジっぽい : アルマンディンとパイロープの中間(宝石名ロードライト)

 本にも書きましたが、二上山の砂の中にルビーがあることを、
 BE−PAL誌上ですが初めて発表したのは私たちです! えっへん。
 二上山の砂は、大昔に目視による鑑定が行われただけで、
 電子顕微鏡などによる鑑定は行われていませんでした。
 このとき、とくに気になる石ということでピンクのものとグリーンのものを
 国立科学博物館の松原先生に鑑定していただいたわけです。
 グリーンのものは、見れば見るほどエメラルドに見えてドキドキしていたのですが、
 残念ながらカーボランダムという人工物でした。
 しかし、ピンクのものがルビーだったのです。
 ここの砂は、現在においても科学的な鑑定は行われていません。
 もしかしたらもっとスゴイものが隠れている可能性も大いにあります。



 #3 方解石

 今回は方解石(ほうかいせき)です。
 英名はCALCITE(カルサイト)。 化学式 CaCO
3

 この化学式を見ると、方解石は鍾乳石と同じ。珊瑚とも同じ。
 石としては、あられ石(アラゴナイト)とも同じです。
 石英や長石とならんで、地球上ではもっともありふれた鉱物の
 ひとつである石灰石です。

 方解石としてよく見かけるものは平行四辺形の面を6つ持った
 立体ですが、あの形は劈開面で割ったもので方解石本来の形では
 ありません。実際の結晶は写真の通り多くの形をもっています。
 (写真の方解石は、すべて岐阜県の金生山産のものです)

 最もありふれた鉱物のひとつである方解石は、水晶やその他の
 鉱物を包み込んでしまっていることがよくあります。そのため、
 よっぽど見事な結晶でない限り、方解石は邪魔者扱いされ塩酸で
 溶かされてしまいます。もともとが石灰岩ですから簡単に溶けち
 ゃうんです。
 宝石・鉱物写真Specialの中で紹介している灰鉄輝石も、
 採集したときは半分が方解石で覆われていました。でも、塩酸に
 つけたら、ホレこのとおり、影も形もありません。


    
灰鉄輝石



 #2 ガーデンクリスタル

 世田谷のボロ市で生まれて初めて買った石です。
 けっこう大きいんですよ。片手で持ったら、ズッシリきます。
 先端が鉛筆の芯のように真っ黒になっているのは、下にある台の色が映っているからです。
 ガーデンというのは水晶の中に入っている緑泥石(たぶん)が、まるで苔むした庭のように
 見えることから、この名前で呼ばれています。
 
 私、この石を買ったのは中学2年のときなんです。
 当時、パワーストーンが流行っていて、お小遣いをためて、ためて、ためて、3万円で買いました。
 ガーデンだしファントムも入っているし大きいし、3万円は絶対お買い得だと思いました。
 それなのに買って手にした瞬間、手を滑らしてしまって地面にガッチャン!
 割れた破片はアロンアルファでくっつけました(TOT)。

 さてその後、私の石好きはさらに深化し、自分で勉強をするようになってみると……。
 おやおや、何だか変だぞこの水晶。
 表面に条線がなくてツルツル。さらにさらに、ファントムの向きも、……山じゃなくって谷?

 結論!
 このガーデンクリスタルは大きな塊から、この形に削りだしたもののようです。
 だから全然、水晶じゃないのー。 これじゃただの石英の塊!
 あー、大ショック! 3万円も出したのに(T×T)。
 今だったら絶対に買わない! だって、もし天然水晶だったとしても、絶対に3万円もしないから!
 



 #1 レインボーガーネットのルース

 最近、罰当たりにもレインボーガーネットを研磨してルースにすることがマイブームになってます。
 これまで自分で採集した石では1〜2センチほどの水晶をペンダントにしていたくらいだったので
 すが、初めてやっちゃいました。
 まずは800番の紙ヤスリでガリガリ。続いて1000番で形を整え、2000番で仕上げという行程
 です。

 ところで、レインボーガーネットってなんでレインボーが現れるのか不思議だったんですけど、研
 磨をするうちに何となくそれがわかってきたんです。
 もちろん学術的にはすでに解明されていますが、私にはよく理解できていませんでした。

 たぶんですけど、結晶の中でガーネットが層を作っているんだと思います。
 なぜそう思ったかというと、研磨しているうちに面に角度がつくんですけど、すると何もなかった面
 から出てきたんですよレインボーが。
 それで私はピンときました。これは地層と同じなんだって。真上から見ていたんじゃ一面しか見え
 ませんけど、斜めに削ると重なった層が何層も見えてくる。
 きっとこの重なった層がレインボーの原因に違いありません。
 だから、レインボーガーネットだけは研磨をした方がよりキレイになる場合があるんじゃないでしょ
 うか。
 うーん、我ながらちょっとスルドイかも。


 それにしてもレインボーを写真に撮るのってむずかしいなー。 





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